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南さつま市 耕作放棄地

きょうは耕作放棄地がテーマです。

高齢化や過疎化で農作が行われていない耕作放棄地が農地全体に占める割合、全国の6パーセントに対し、鹿児島は14パーセント。農地の実に7分の1が放棄されていることになります。
南薩地域でもっとも耕作放棄地の割合が高い南さつま市を取材しました。


南さつま市笠沙町赤生木の黒瀬地区です。

石積みの棚田は耕作放棄地となり、いまや山に戻りつつあります。
かつて50ヘクタールあった水田は現在0.5ヘクタール。100分の1にまで減りました。

黒瀬地区はかつて旧笠沙町最大の集落でした。昭和26年の人口は1781人。いまでは242人に過ぎません。
この地から九州各地に向かい、焼酎作りを支えた技能集団「黒瀬杜氏」です。

黒瀬の人たちは沖縄から伝わったとされるノウハウをもとに農閑期は各地で焼酎を作り、農繁期には稲作、そして漁業を行いました。
その豊かだった地域の光景はもはや消えつつあります。


この地で生まれ育った、南さつま市笠沙支所の片平孝一支所長です。
大型の機械が入らず耕作を人力に頼らざるを得なかった集落は時代に取り残されてしまったと振り返ります。

片平孝一支所長「人口も減って、高齢化も70%近くになっているんじゃないでしょうか。寂しいですね。田舎は切り捨てられるみたいな感じはありますね」


いま黒瀬地区で稲作を続けているのはわずか3人。最高齢で86歳の片平則夫さんです。

かつて黒瀬杜氏でもあった片平さん、地域の全盛期を知るひとりです。
片平さんには子どももいますが、稲作は自分の代で終わりだと感じています。

片平則夫さん「戦後から受け継いだ財産だから、なるだけ荒らさないようにしないといけない。このまま荒れ地だと…この集落は倒産じゃ。」


耕作放棄地が農地の33パーセントと南薩地域でもっとも高い南さつま市。
集落が悲鳴をあげる中、協力し合って農作業をし、耕作機械を共同利用することで効率化を図る集落営農に取り組む地域があります。
南さつま市加世田川畑の舞敷野地区です。この日20人が集まり、共同で草払いをしました。

舞敷野地区が県内初となる集落営農を始めたのは、平成6年。
耕作機械の共同利用で1億円以上経費を浮かせ、高齢化などで稲作ができなくなった分の耕作も共同で行っています。

24年間で構成員は52人から32人に減りましたが現在もおよそ8ヘクタールの田んぼを耕作放棄地を出すことなく維持しつづけています。

集落営農の委員のひとり永田隆志さんです。ほ場を整備し、田んぼを共同化することには当初抵抗も受けたと振り返ります。

舞敷野地区の水田の特徴は、住宅地の間に細長い田んぼが点在する点です。永田さんは先祖代々続く、地域の原風景を守り続けていきたいと語ります。

永田隆志さん「江戸時代からこういった形の土地ですので、これを守っていきたいと思います」


集落営農の運営委員会が開かれました。水田の現状はどうか、全員で田んぼの些細な変化にも目を光らせます。
水田の光景を次の世代に。舞敷野地区の取り組みは続きます。

永田隆志さん「生まれてきた土地、これを若い世代に言い伝えながら、守っていきたいというふうに思います」