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キャリア官僚から農家へ 窪壮一朗さん

きょうは、文部科学省のキャリア官僚から農家に転身した南さつま市の窪壮一朗さんです。

南さつま市大浦町。田んぼや畑のあぜ道を慣れた様子で運転するのは、窪壮一朗さん(35)です。

この日、窪さんが向かったのは、かぼちゃ畑。
(窪さん)「かぼちゃは芽がいっぱい出てくる。葉っぱの脇からこう芽が出てくるんですよ、それをこう取っていく」


鹿児島市出身の窪さんは東京の大学を卒業後、文部科学省でキャリア官僚として働いていましたが、自由な立場で社会と関わりたいと、退職。
7年前、南さつま市大浦町で空き家になっていた祖父の家に引っ越しました。

(窪さん)「そのときは、私も家内も深く考えてなくて、ピクニック気分というか。うまくいかなかったらまた都会に帰ってくればいいかなみたいな、そういう感じで」

軽い気持ちで移住を決めたという窪さん。農業を始めたのも、地域の人に勧められなんとなく…でしたが、今ではその魅力に惹きつけられています。

(窪さん)「まったく人間関係のストレスとかないので、そこだけは農業はすばらしいと思いますね。上司も部下もない、同僚もいない、1人だけなので。かと言って仲間がいないわけじゃなくて、仲間もいて。」


窪さんは、妻と子ども2人の4人暮らし。

自宅近くにある作業所では、妻の菜つみさん(32)が、夫の作った農作物や地元の農家から仕入れたものを使って、しょうがシロップ(750円)や柑橘類などのジャム(600円)などの加工品を作っています。

商品は、窪さんのホームページ「南薩の田舎暮らし」や県内の物産館などで販売しています。

はじめは自宅用に作っていましたが窪さんが菜つみさんに販売を提案しました。
(菜つみさん)「おいしいということで主人が『これ売って』と。私も結構、軽い気持ちで請け負ったらけっこう大変でした(笑)」


窪さんが月に1回、楽しみに開催しているイベントがあります。

南さつま市加世田の石蔵で開く「ブックカフェ」。老舗しょう油店が多目的スペースに改装した石蔵を借りています。
雰囲気のある石蔵でコーヒーと古本があれば楽しいと、窪さんが、古本屋を営む友人に提案したのがきっかけでした。

(つばめ文庫・小村勇一さん)「彼はアイディアマンだし、企画力と、そのスピードをもって実行するというのがすごいなといつも思っています。」

(窪さん)「誰でも思いつくことをやるんですけど、ただ意外とみんなやらないんですよね。それを実際やるところまで行くというのは、他の人と比べたらやるかもしれないけど…」


去年10月からスタートしをた石蔵ブックカフェはこの日で7回目。金曜日という平日の開催ですが、毎回来ている常連もいます。

「何にもないとこやもんなー(笑)だからこういうのができたときに本当に良いことだと。」


家にあった本を提供してくれる人も…
「子どもたちが(本を)見れるような場所かなぁと思って持ってきた。欲しい人が持って帰ってもいいし」


楽しいと思って始めた石蔵ブックカフェは、地域の人たちが集う場所に育ちつつあります。
(窪さん)「こんな平日の田舎で結構なお客さんが来てけっこうな売り上げがあるのは奇跡。なぜ奇跡が起きたかというとみなさんがこんな場がほしいと思っていたから。求めている人たちと自分たちのやりたいことがぴったり合ったなと思って」

まずは自分たちが、田舎暮らしを楽しんでいるという窪さん。”軽い気持ち”で移住してから、7年目を迎えました。
(窪さん)「気づけば7年か~みたいな感じで。なんかこれでいけるぞ、みたいな確信があったから続けられたというよりは、なんかほんと地域の人に支えられてというか、そっちのほうがでかいですね」

石蔵ブックカフェなど地域での活動が注目されますが、窪さんの今の目標は…
(窪さん)「しっかりと生活できるだけの所得を上げられる、ちゃんとした農業をそろそろしないとなと。あとは私自身は今までも楽しくやってきましたけど、自分ひとりだけじゃなく家族みんなが楽しくできるようにやっていきたいなっていう、ただそれだけですね」