南海トラフ地震・広域災害への備えは

今後30年間の発生確率が、70から80パーセントとされる南海トラフ巨大地震。地震と津波による鹿児島の死者の想定は最大2000人で、10万人を越える静岡や、和歌山・高知などに比べると多くはありません。しかし、巨大地震という広域災害では、別の課題に直面するおそれもあります。

名古屋大学・山岡耕春教授「日本全体で見たときに鹿児島は悪い言葉で言うと忘れられる。鹿児島県は自分で持ちこたえる必要がある」


国が対策を進める南海トラフ巨大地震。
マグニチュード9.1で死者は最悪32万3000人、太平洋岸を中心に西日本の大半で被害が発生するとされています。
被害の目安は、中部地方の4割を筆頭に、近畿が2割、四国が3割、九州は1割です。

その1割の九州では宮崎の死者が最悪の3万5000人。大分が2万2000人。
対する鹿児島は2000人とみられています。

巨大地震にみまわれた後の課題について、気象庁の南海トラフ地震の検討会で委員を務める、名古屋大学の山岡耕春教授は2年前の熊本地震と比較して説明します。

(山岡耕春教授)「熊本地震は、日本全体が平穏な中で、熊本だけが被災をしたので、全国から支援が集まるんです。南海トラフの地震はそうではなくて、非常に広い範囲が被災をするので、そうすると、まったく支援物資がとどかない事がありうることだと思います」


「国難」ともされる巨大地震に九州で最悪の死者が想定されている宮崎県はどのように備えているのか。
宮崎市の津波避難タワーです。
宮崎ではこのようなタワーなどをすでに15か所整備し、2年後には26まで増やす計画です。あわせて2万人が収容可能になります。

(宮崎県・鬼束健司さん)「こういった施設の整備を含めて喫緊な課題として現在取り組んでいるところです。1人でも多くの県民の命を守るのが我々の使命だというふうに考えております」


また宮崎県では4年連続で南海トラフ地震を対象に県の総合防災訓練を行ってきました。
さらに九州各県との連携を強めようと立ち上げられた、九州ブロック協議会の事務局として広域での連携・支援体制の確立も進めています。

(鬼束健司さん)「まず、県内の全市町村が協力しあって、支援し合うということろ。それでも足りないところがたぶん出てくると思いますので、そういうところは九州ブロック協議会のスキームを使わせていただいて、実際の応援をいただいたり、そういった体制が取れればいいなと考えております」


一方の鹿児島県。全国各地で甚大な被害が想定される中、県内の救助そして支援のあり方については…?

(県危機管理防災課・玉利雅昭課長)「広域の災害があった時には、九州山口9県で災害時の応援協定というのを結んでいますので、被災した市町村だけではなかなか対応できませんので、当然、県が入りまして連携していくという形になっていくと思います」


現在、南海トラフ地震における避難対策の特別強化地域として鹿児島県内で指定されているのは、志布志市を始め大隅半島と種子島の8つの市と町です。
それぞれ備えを進めていますが、被災直後に支援が得られないおそれもありうると危機感を募らせています。

(志布志市・河野穂積危機管理監)「確かな支援というのが受けられるかというのは、正直言いまして、手探りといいますか、見えない。鹿児島県と市町村で何かしらの仕組みを構築してもらえれば(良い)」

(西之表市・長濱洋志さん)「西之表市としても、出来るところについては整備をしてくんですけど、国とか県につきましても、何らかの支援、空路とか港の確保については力を注いで欲しい」


中でも第2の庁舎機能を持つ、防災センターを3月に完成させるなど、県内での南海トラフ地震対策をリードする東串良町の宮原順町長は?

(東串良町・宮原順町長)「県もやっぱり取り組みを後押ししていただけるような方法をとっていかないと。ただ自治体任せであって。住民の命を守ろうということだけです。オール鹿児島で取り組んでいけたら良いなと思っております」


7年前の東日本大震災。震災前から巨大津波への懸念は専門家らも指摘していましたが、宮城県などは防災計画に独自の想定を盛り込んでいませんでした。
名古屋大学の山岡耕春教授は、その苦い経験を鹿児島県は生かし、主導的役割をはたすべきと語ります。

(山岡耕春教授)「東日本大震災の最大の教訓はきちんとした「地震像」を地方自治体が自主的に作り上げていなかったこと。国を待つのではなくて県独自で災害に備えるべきである、そういう自主的なイメージを持つべきであるというふうに思います。」

巨大地震のカウントダウンが進む中、南北600キロの県内でどのように備えるのか、オール鹿児島での対策が急がれます。