地域防災 震度5強から1か月 耐震化の現状と課題

シリーズ「地域防災」です。
鹿児島市喜入町で震度5強を観測した地震からきょうで1か月です。
鹿児島湾を震源地とする地震は、最近も発生しています。
地震活動の現状と、耐震化などの課題について、道山記者の報告です。

先月11日の午前11時56分、鹿児島湾で発生したマグニチュード5.3の地震。

鹿児島市喜入町で震度5強、指宿市と南九州市で震度5弱を観測しました。
軽傷が1人、がけ崩れが2か所、学校や公共施設で壁や柱が壊れるなどの被害がありました。


その後も鹿児島湾を震源地とする震度1から3の揺れが34回観測されていて、10日夜も鹿児島市喜入で震度2を観測する地震がありました。

道山記者:「鹿児島市喜入町の住宅街です。住民からは地震に対する心配の声が今も多く聞かれます」

(喜入町住民)
「(先月11日は)怖かった。家がつぶれるんじゃないかと思うくらい」
「また大きなのが来たら怖い」

実は鹿児島湾では、過去にマグニチュード7.1、熊本地震とほぼ同じ規模の地震が発生しています。

(後藤和彦教授)
「1914年に桜島が大噴火起こし、夕方に鹿児島湾を震源とするマグニチュード7.1の地震が起きた。今回の地震は大正噴火の規模の1000分の1」

1914年以降、大きな地震がなかった鹿児島湾ですが去年11月ぐらいから地震が増え始めていたといいます。

「去年11~12月から地震が増えた。3月にM3.9が起きて、先月5.3が起きた。7月11日の半日で(体に感じないものも含め)700回地震起きたが、今は1日100回切る程度」
地震の回数は減りつつありますが、専門家は今後も大きな揺れが起きる可能性はあると話します。

「徐々に活動は減っているが、減り方は従来の地震に比べゆるい。これくらいのスピードで落ちるのが普通。マグニチュード5.3ほどではないかもしれないが、それなりの大きな地震が起きる可能性ある」
大きな地震から身を守る上でポイントになるのが建物の耐震化です。

去年の熊本地震では直接の死者50人のうち多くは倒壊した建物の下敷きになりました。


これを受けて、県内では住宅の耐震工事などにかかる費用の一部を補助する自治体が増えました。
現在、県内の26の市・町で補助制度があります。

県住宅政策室・福永貴幸室長:「どこで大きな地震起きてもおかしくないと言われているので、耐震への意識高まっている」

しかし県内の住宅の耐震化率は75パーセントで、全国平均の82パーセントを下回っています。
耐震化が進まない背景には、高額の費用負担があります。
鹿児島市鷹師の新里さん夫妻です。
去年9月、築40年以上になる木造2階建ての自宅の耐震工事をしました。

「車庫の上に中2階があって、柱を補強した。金具と斜めに柱を入れた。昭和56年以前は耐震基準が低かったのでやったほうがいいと思った」
耐震化の総額は、およそ330万円。市の補助制度で一部をまかないましたが、大きな負担でした。
「鹿児島市の補助が100万円、だから(実際の負担は)250万円。これにかかったのは。仕方ない。家も古いし」

 

高額の費用は、企業にとっても切実な問題です。


鹿児島市の鹿児島サンロイヤルホテルは、来年から順次、建物の耐震工事を行います。費用はあわせて数十億円に上る見通しです。

鹿児島サンロイヤルホテル池田司常務:
「客室の耐震化は売り上げが上がるような工事ではないので、費用回収は大変。50パーセント近くの補助金が出るが、いろんな縛りがあり、限度額がある。もう少し補助金を増やしてほしい」

個人も企業にも負担が大きい耐震化の費用ですが、補助率の引き上げについて、県内の一部自治体からは
「財政状況が厳しくなる中、これ以上負担できない」との声も聞かれます。

一方で専門家は耐震化の重要性を指摘します。
後藤和彦教授:「地震動の場合は倒れたもの(建物)の下敷きにならないこと。緊急性・重要性高いところから、速やかに(耐震化)進めるべき」

地震から命を守るために耐震化をどう進めていくか。社会全体で考えていくことが求められます。