地域防災①桜島大規模噴火の備えは

初回のテーマは桜島の大規模噴火です。

桜島の噴火警戒レベルがおととし、一時、4に引き上げられて以降、鹿児島市は大規模噴火への備えを加速させています。
対策は、桜島側だけでなく、鹿児島市街地側でも動き出そうとしています。
今月4日、桜島は今年3回目の噴火をし、鹿児島市街地におよそ8か月ぶりに灰が降りました。


去年8月以降、活動は落ち着いているものの、姶良カルデラの地下では膨張が続いていて、いつ活発化してもおかしくないと専門家は警鐘を鳴らします。


京都大学井口正人教授
「気象庁が噴火警戒レベル3を引っ張っているようにいつでも噴火が起きうる状況」
「今後の活発化のシナリオの中で最大のものが大正級の大規模噴火で山腹噴火」

 

今後、想定される大規模噴火。その脅威を示す痕跡が桜島4合目付近の山腹に残されています。
直径が200メートルを超えるクレーター。103年前の大正噴火の火口のひとつです。

1914年1月12日に始まった大正噴火。死者・行方不明者58人を出した、20世紀国内最大規模の噴火です。
噴煙の高さは2万メートルにも達し、噴出物の総量はおよそ20億立方メートル。2011年の新燃岳の噴火の100倍規模です。


大正噴火級の大規模噴火では、噴火開始からの1日間で、桜島だけでなく、風下側の広範囲に大量の噴出物が降り注ぐと考えられています。
井口教授「非常に高高度まで上がる巨大な噴煙が噴出されて、それが周辺に噴石、礫、火山灰を多量に撒き散らす。やはり一番最初の巨大な噴煙による火山灰、礫をどうしのぎきるかが一番のポイント」


井口教授が2014年のインドネシア・ケルート山の大規模噴火の際に採取した軽石です。

火口からおよそ10キロの場所でもこうした軽石が降り注ぎ、屋根などが被害を受けていたと言います。
井口教授「市役所でも10キロくらい、県庁でも10キロくらい、こういうものが落ちてくると考えないといけない、しかも大正噴火はこれより大きい。そういうことを考えざるを得ない」

市街地側にも降り注ぐおそれがある噴出物にどう備えるのか?鹿児島市は先月、国や県、民間業者などを交えた会議を始めて開き、検討をスタートさせました。


検討にあたっては月別の風向きの傾向と、それをもとにした降灰のシミュレーションが示されました。
風向きによっては、市街地でもおよそ6センチの軽石が降り、噴火開始から16時間後に厚さ1メートルを超える大量の灰が降るケースもあるとされています。

大量の降灰は交通、ライフラインなどを麻痺させるだけでなく、救急、救助活動や復旧を阻み、影響が長期化するおそれもあります。
さらに大量の灰をどう除去するのか、そして、撤去後はどこに処分するのかなど、今後、検討すべき課題があまりに多いことが改めて浮き彫りとなりました。

 

中課長「大正時代のライフラインは今と全く違った状態、降り積もった灰の上に道路を通すことも可能。今は道路網が整備され、地下にライフラインも埋設。そうした中でどう復旧を進めていくのか課題だと思っています。」市では今後、検討を進め、今年度中に対策をまとめる方針です。

ただ、大規模噴火の脅威は、噴出物だけではありません。
大正噴火の死者・不明者58人のうち桜島の住民は25人で、その大部分は冬の海を泳いで避難しようとした人たちでしたが、
残る33人は噴火開始からおよそ8時間後に発生したマグニチュード7.1の地震による鹿児島市街地側などの死者とされています。

また、江戸時代に起きた安永噴火の際には海底噴火による津波も発生しました。
さらに安永噴火では地盤が2メートルも沈下し、噴火後の大潮の際には現在の鹿児島市役所周辺の名山町付近がたびたび水に浸かったとの記録もあります。
地震や津波など、複合災害としての側面もある大規模噴火。井口教授は地震、津波など個々の対策を進めると同時に、過去や海外の事例をもとに災害のイメージを持ち、広く共有していくことが大切だと話します。


井口「火山噴火はめったに起きずイメージを持つことは難しい」
「実際に起こった事例を桜島に反映していく努力、それを市民全体で共有?していくことが大切」


大正噴火から100年あまり、桜島の大規模噴火をより現実的な問題ととらえ、備えていくことが求められています。