雨期防災⑤県内最大の1級河川 川内川の備えは

東日本で100人あまりが犠牲になった去年の台風19号では、1級河川が軒並み決壊・氾濫しました。
県内最大の1級河川・川内川の備えはどうなっているのか?大久保記者の報告です。


国の川内川河川事務所です。2週間前の夜、この防災情報室が緊張に包まれました。

川内川河川事務所調査課 伊東理博課長「最初の気象庁などの情報ではここまでの雨にある認識はなかったので、途中からすごい緊張感が出てきた」

15日よるから翌16日の午前中にかけて薩摩地方を中心に降った大雨。

川内川上空に線状降水帯がかかり、上流の宮崎県えびの市では平年の5月ひとつき分の1.3倍にあたる300ミリを超える雨が半日で降りました。
河川事務所は夜間体制を2人から6人に増強。最終的に災害にはいたりませんでしたが…

伊東課長「5月でも今回大雨が降った。今後6・7月も今まで以上の雨が降る可能性は十分考えられますので、そういったところを強く意識していただきたい」


県内最大の1級河川・川内川。現在、河川事務所では新たな堤防をつくり川幅を広げる工事を進めています。工事箇所は、川の北側と南側あわせて2.8キロ。北側は来年度中に完成の見込みです。

(安部宏紀所長)「我々が今、立っているところが旧堤防になります。向こう側にあります今工事をしている新堤防になりまして、できあがったら古い堤防のところを掘って川幅を50メートル広げることで、流下能力を1.2倍にする」

川内川河川事務所の安部宏紀所長です。
国内で相次ぐ豪雨。とりわけ去年、台風19号で九州全体の面積をも上回る東日本の広い範囲で1級河川が軒並み決壊、氾濫した重い事実をかみしめています。

(安部所長)「台風19号の(被災範囲の)大きさでいくと九州だとまるきり中に入ってしまいますので、九州は全面的にやられると。筑後川が氾濫して、川内川それから南の方にある甲突川がいっしょに氾濫するということは十分考えられる」


国の担当者も衝撃を受けた台風19号。雨量は最大1000ミリを超え、日本で最も長い信濃川水系の千曲川を始め、阿武隈川や那珂川など関東甲信越・東北の広い範囲で71河川が決壊。104人が犠牲になりました。

河川事務所の安部所長は同じ広域災害となった場合、支援も間に合わず住民ひとり一人の自分の命を守る意識がより重要となると語ります。

(安部所長)「我々も精いっぱい氾濫しないように仕事をしていきますが、我々の手のとどかないところまで洪水がくるのがこのごろの実態になっている。自らの命は自ら守るということに努めていただきたい」


一方、県が管理する川内川の支流・高城川です。
梅雨入りを前に、最大で15パーセント川の断面積を広げる掘削を行っています。県は川の掘削を川内川水系の22河川。県全体では78河川で進めています。

県の河川課では、昨年度の1.7倍となる16億円の予算で今年度、梅雨の時期以降も川の掘削を進める方針です。

県河川課・瀬戸口淳一課長「昨年度よりもさらに予算を増額しまして、県内各地の河川において重点的に取り組むこととしております。」


国の想定で川内川では最悪、薩摩川内市街中心部・27000人が居住する一帯が最大5メートルもの浸水に見舞われる恐れがあります。どのように住民は受け止めているのか?
川内駅近くで自転車店を営む児玉洋さんです。最悪の場合2階建ての店舗はほぼ水没するとみられます。

(児玉洋さん)「(2階まで)完全に沈むでしょうね。今後考えていかなければいけないのかなという気はします。」

長女で近くの川内小学校に通う5年生・児玉希乃花さん。小学校の校区も大半が浸水想定区域。希乃花さんの通学路も最悪の場合、ほぼ水没します。

(希乃花さん)「川が増水したとき、側溝の水が多くなってちょっと怖い」

児玉さん一家は、店の近くのアパートの4階に住んでいるため、浸水しても家にいれば命は助かると考えています。
しかし、全国で相次ぐ記録的な大雨を受け、親子で防災について考えていきたいと気を引き締めます。

(洋さん)「(川内川は)拡幅工事もしているので差し迫って怖い思いもしてませんけど、ずっとここ何年も(全国で)想定外の状況が続いているので、油断はできないなというところはいつも思いますね」

 

学校で津波については学んだものの、氾濫で地域が浸水するおそれは知らなかったという希乃花さんは…。
(希乃花さん)「自由研究などとして(洪水について)調べてみたいと思うきっかけにはなった」

川内川河川事務所の安部所長は、全国での大雨を自分のこととしてとらえて欲しいと訴えます。
(安部所長)「台風19号にみられるように、今の気象というのは非常に異常な気象になります。(洪水を)自分のこととして考えていただきたいと考えます」