雨期防災①去年の記録的大雨の教訓は

鹿児島は去年、記録的な大雨に見舞われました。特に鹿児島市では全域の59万人に「避難指示」が出される事態となりました。去年の大雨の教訓について池田記者の報告です。


去年6月末から7月にかけて県内を襲った「記録的大雨」。

特に7月3日には平年の7月の1か月分を超える雨が1日で降った所もあり、鹿児島市と曽於市では住宅ががけ崩れに巻き込まれ、2人が死亡しました。
各地で河川の氾濫や堤防の決壊が相次ぎました。

(山之内千鶴子さん)「こんな感じじゃなくて。ゴーっという感じ」

鹿児島市の和田川の近くに住む山之内千鶴子さんと夫の誠さんです。去年7月に和田川が氾濫する様子を撮影しました。あふれだした川の水は川からおよそ50メートル離れた自宅前まで迫ってきたといいます。

(山之内千鶴子さん)「この辺までもちろん来るので。ここから水がじゃぁじゃぁ流れてくる。この橋の方に。とにかく家に2階に避難してあとは窓から見るしかない」


鹿児島市は全域のおよそ59万世帯に避難指示を出し、川沿いにある和田小学校でも避難所が開設されましたが…。

(池田記者)「去年の7月、増水した和田川の水があふれ出てこちらのすき間から流れ出した。水は道路を超え、避難所となっている和田小学校の駐車場に流れ込んだ。一帯は水浸しになっていたそうだ」

避難所が浸水の危機に直面した経験を踏まえ、鹿児島市は去年、専門家とともに避難所を調査。
そして今年3月に地域防災計画を見直し、240の指定避難所のうち川や崖の近くの17施設が廃止され、代わりに2階建て以上の建物など5施設が加えられました。

災害科学が専門で鹿児島市の検証作業に協力した鹿児島大学の岩船昌起教授です。


氾濫や道路の浸水で避難所や親戚の家などに早めに避難する「水平避難」が難しい場合、建物の上の階に逃げる「垂直避難」もイメージしてほしいと話します。


(岩船教授)「特に水の場合は横に逃げても避難できないので、高いところを求めることが大事です。上に上がる上がらないは2階からでも分かる。そういうところを見て判断してもらえればいいと思います」


自分が住む地域のことをより深く知ることも大切です。
例えば和田川沿いでは、1960年代に宅地造成された際に盛り土がされた左岸に比べて、右岸に水が流れ込むケースが多いと指摘されています。
自分の住む地域の特徴を知り、災害時の備えを日ごろから考えておくことが大切だと話します。

(岩船教授)「地域の発達に応じて埋め立てとかそういうものが行われていって、よかった場所が逆に浸水するリスクが高まる可能性もある。土地の成り立ちとか色々なところを含めて考えてもらえればいいと思う」


行政が出す情報も、去年7月の豪雨を踏まえ変化しました。


鹿児島市では以前は避難勧告などの避難情報は谷山や桜島、松元などの9つの地域ごとに出していましたが、この春の地域防災計画の見直しで、「谷山地域の和田2丁目」のようにより細かい町や丁目までホームページなどで確認できるようになりました。

(鹿児島市危機管理課 児玉博史課長)「危ない場所にいるって分かっている人は次の行動が変わるんです。今すぐに自宅の安全確認をしていただきたい」

去年の災害も教訓に、見直しが進められた対策。
しかし、いつ避難すれば安全かは住んでいる場所や年齢、家族構成などによってそれぞれ異なり、行政からの避難情報だけに頼っていては、間に合わない恐れもあります。

命を守るためには、普段から身の回りでどんな災害が起こるかをイメージし、どう対応すればいいか考えておくことが大切になります。

国は災害時にとるべき行動を判断するための目安として「避難行動判定フロー」を公表しています。


ハザードマップを見ながら避難所に行くのか、安全な親戚や知人宅に行くのかなど、考えるもので、「平時に確認しておくべき」としています。

これをもとに鹿児島市も来月、独自の「避難行動判定フロー」を掲載した防災リーフレットを配布する予定です。
お手元に届きましたら、ぜひ確認してみてください。