西日本豪雨1か月 教訓・県内の備えは

220人あまりが犠牲になった西日本豪雨から1か月が過ぎました。中でも岡山県倉敷市真備町では河川の決壊による氾濫で51人が亡くなり、洪水災害の恐ろしさを改めて私たちに突きつけました。
MBCは専門家とともにこの真備町を取材しました。被災者が語る教訓、そして鹿児島県内での課題など大久保記者の報告です。


西日本豪雨から1か月の今週6日、岡山県倉敷市真備町です。
土ぼこりが舞う中、がれきの撤去が続けられています。

100メートルにわたって堤防が決壊した場所です。
小田川とその支流ではあわせて8か所が決壊し、氾濫しました。

気象庁特別警報が11府県に出された西日本豪雨。
真備町では平年の7月ひとつき分の2倍にあたる300ミリ近くの(294.5ミリ)雨が降り、7日未明小田川などが決壊し、51人が死亡しました。

真備町があるのは、倉敷市北西部。東側を流れる高梁川が増水したため、支流の小田川がせき止められるいわゆるバックウォーターが起きたとされ、堤防8か所が決壊し、町の3割が水没、4600戸が水につかりました。


(鹿児島大学・井村隆介准教授)「決壊したすぐわきの所、橋みたいなところがあるんですけれども、支流が合流するとろこなんですね。本流が流れていて支流が合流するようなところで水位が上がったんだろうというふうに思います。」

MBCの取材に同行した地質学が専門の鹿児島大学・井村隆介准教授です。
小田川に支流が流れ込むやや下流側で決壊が起きている点に注目します。

(井村隆介准教授)「本流側(小田川)に支流がはいってくることで、あの辺りでたぶん、渦ができるんです。しかも上流から下流に向かって流れてくるから、下側に大きな渦ができるわけです。そういうものが(渦が)あのあたりを削ったのではないかというふうに僕は思うんです」

合流点で渦ができ、その渦が小田川の下流側をえぐり決壊する。井村准教授は、バックウォーターが決壊の直接の原因ではないと分析します。

(井村隆介准教授)「本流に合流する支流の少し下流側というのはそういうことが起こりやすいのかもしれない。5メートルの堤防が決壊してしまうと5メートルの浸水になる。気がついてからの垂直避難もかなり難しい状況だったのではというふうに思います」


最大で5メートルもの高さとされる浸水。住民はどのように対応したのか?

(大久保記者)「小田川が決壊したすぐ近くの集落です。建物が大きく壊されています。あふれた水の猛烈な力を物語ります」

(須増恭廣さん)「土石流のようなものが流れたみたいで2軒流された。その中で1人の方が亡くなられた」

須増恭廣さんです。水が堤防を越え始めたのを見て辛くも逃げのびました。

(須増恭廣さん)「越水してきましたので、二人のお年寄りを車に乗せて避難したんです。実際ハザードマップと今回の被害はほぼ一緒なんですよね。深刻に受け止めるような意識がなかったですね。首に縄をつけてでも早めに避難させる。地域全体で避難させなければいけないなと思いますね。」


(蒔田典幸さん)「間のところにずっと白い線がずっと…あの高さまでつかってきたから、家族を叩き起こしてこのへん(膝上)まで浸かりながら裏山へ逃げていきました」

町の中心部で石材店を営む蒔田典幸さん。水は工場と隣接する自宅の1階を飲み込みました。

(蒔田典幸さん)「あっという間に東のほうから順番に道が浸かってきて、みるみる水位が上がってきて、停電になって(行政無線などの)放送が聞こえない状態になって、(浸水の)情報はなかった」

裏山に避難した蒔田さん。そのとき明治時代にも同じ高さまで浸水があったことを近くの高齢者から聞きました。

(蒔田典幸さん)「石垣の下まで水が来たよと教えられた。やっぱりドンピシャリ(今回も)その高さまで上がってきました。
やっぱり次にまた同じことが起こったらいかんだろうし、そういうことはしっかりこれから行政・コミュニティふくめ、そういう部分でやっていって、死者が出ないように(皆で)洪水に備えてもらいたいなとは思います。」


一方、鹿児島でも洪水災害は他人事ではありません。

豪雨12年前の県北部豪雨。5日間の総雨量は1165ミリに達し、川内川とその支流が氾濫。死者5人のうち、1人が洪水で死亡しました。


その1人が亡くなった伊佐市大口。

住民の伊藤光廣さんです。
(伊藤光廣さん)「ちょうどカーブになっているところがあるでしょ。カーブになってちょっといったところが決壊して、こっちの方に氾濫した。やっぱり不安ですよ、川沿いだから。」


豪雨を受け、川内川では激特事業による改修工事が進められました。
しかし、伊佐市では浸水が想定される800ヘクタールに市民の10パーセントに当たる2500人が住んでいます。

多くの犠牲者が出た真備町の教訓をいかに生かすか?模索が続きます。

(伊佐市総務課・有薗良介課長)「もう他人事ではないというふうに考えています。行政の役割としては市民の安心・安全を守るのが第一」


一方、下流の薩摩川内市中心市街地です。
ハザードマップでは広い範囲で2メートルから5メートルの浸水が想定されています。

(鹿児島大学・井村隆介准教授)「平成18年は水防団待機どころか、避難判断水位から氾濫危険水位まで上ったというふうに記憶しています。川内川、この市街地もあふれる寸前だった。
本当に一面街が海のような状況を自分の街でも想像していただいて、その時に何ができるか、何が必要なのかを考えていただきたいなと思います」