柏木広樹さん

MBCラジオの番組「やくしまじかん」のテーマ曲を作曲・演奏したチェリストの柏木広樹さんです。

(柏木広樹さん)「やくしまじかんのテーマ音楽を作るにあたって、やっぱり屋久島は雨の島じゃないですか。雨の多いところですからね、その雨って水じゃないですか。水がないと人間ってそもそも生命は誕生していないじゃないですか。そういうところから曲ができないかなと」

東京出身の柏木広樹さんは、「人の声にとても近い音色の楽器」と言われるチェロの奏者です。

これまでに映画「おくりびと」で主演した本木雅弘さんや、「新世紀エヴァンゲリオン」の主人公・碇シンジのチェロ演奏など、さまざま作品の劇中演奏を担当したほか、作曲やプロデュースなど多彩に活躍しています。

そして、MBCラジオで毎週土曜日、午後4時30分から放送している「やくしまじかん」で、今月からテーマ曲に使われている「SpiritoftheForest」も柏木さんが作曲し演奏しています。

(テーマを依頼された時は)
「MBCの番組の音楽をできるというのが大きな喜び。それと、もうひとつは、屋久島って僕を音楽の作曲に対して助けてくれた場所でもあるので。」

柏木さんが屋久島を初めて訪れたのは10年前の2009年。新たな曲作りにつなげようとひとりで島に入り、3泊4日の日程で島内各地を巡りました。

「曲ができないなぁと。屋久島に行ってみようと思ったんですね。滝の前に行ってメロディ来い!とかいろいろ。縄文杉に行って、メロディ来い!ってやったけど、全然来なくて。ところが、最終日に西部林道から海の方に降りていったところにもともと人が住んでいたような跡があって。そこにガジュマルの木がすごい群生していて、ふっと座ったときに、そこにメロディがあったような気分。自分が作った曲というか、屋久島がくれた曲。おかげですごく充実した気持ちをもらったような気分で」

滞在中は天候に恵まれた柏木さんですが、一方で、屋久島は「雨が降る」印象があったことから今回は「雨」をイメージして作曲しました。

「屋久島って雨の島だから、雨=水でしょう。水って人間にとって最も大事なものののひとつじゃないですか。その水が命のひとつだって考えた時に今度は、雨の曲を書こうと思って。」

「自然に囲まれていると、風が吹いて木がこすれる音、それもひとつ音楽だと思うし、ひとつひとつが、命みたいな気になっちゃうんですよね。多分、屋久島の自然がそういうことを自分に教えてくれるという感覚になるのかな」

屋久島での体験が重なりあって生まれた「SpiritoftheForest」。この曲を通じて聴く人にさまざまなイメージを膨らませてほしいと話します。

「チェロの音楽って歌詞がないでしょう。だからそれでイマジネーションを持っていただくということが、僕にとっては喜びですよね、屋久島が見える、森が見える、自然が見えるっていうような演奏ができたら一番嬉しいよね。楽器で歌う。楽器の声を自分が届けるんだという演奏でないときっと背景にあるものがぼんやりとも見えてこないと思うので」

(屋久島の自然から得たもの)
「もともと人間って自然の中で生きていたのが、文明が発達して、今便利な生活を手に入れられているわけだけど、やっぱり自然の中に帰っていった時に、その空気を吸えるというのは、心の空気も入れ替えもしてくれるし、気力というか、次にこういうことやろう。とか頑張ろうみたいなエネルギーをもらうような。そんな気がしました。」